始めよう、減塩生活!
意外と知らない醤油の科学!その壱

塩分制限。口で言うのは簡単でも実践するのは大変です。例えば醤油。塩小さじ1杯は6gですが、醤油小さじ1杯分に含まれる塩分量は次のようになっています。
濃口醤油 0.9g
薄口醤油 1.0g
減塩醤油 0.5g

高血圧治療ガイドラインには、高血圧の方の場合、1日の塩分摂取量6g未満にするように記載があります。醤油も塩分制限という名のもとでは悪者扱いされてしまいますが、まずは工程を知り、なぜ塩分が多く含まれるのか知って醤油を愛することから始めましょう!(^^)

醤油は、「大豆」「小麦」「塩」から造られますが、なぜ醤油には塩分が必要で、なぜ黒いのか、意外と知らないお醤油の科学です。醤油の製造には、麹菌や乳酸菌の働きが欠かせないのですが、「塩」は雑菌の繁殖を防ぐために必要なのです!

【製麴(せいきく)】
蒸した「大豆」と煎った「小麦」を混ぜて、種麹をつけ麹室(こうじむろ)で麹菌を繁殖させ麹を造る。

【発酵】
製麴(せいきく)した麹と塩水を桶に入れ、「もろみ」にし、麹と塩水をなじませるようにかき混ぜていくと麹菌が発酵過程で次のようにしっかりと分解する。
大豆と小麦のタンパク質➡️アミノ酸
小麦のでんぷん質  ➡️ブドウ糖
大豆の油      ➡️グリセリンと脂肪酸

この状態で1〜2ヶ月経つと乳酸菌が増殖してくる。乳酸菌の働きで、糖分がさまざまな有機酸に変化し、酸味など味に深みが加わる。さらに、乳酸菌の乳酸でpH5.5弱の弱酸性になることでほかの雑菌の増殖を防ぐが、乳酸菌も死んでいく。
その後、もろみの中では酵母菌が増殖し、ブドウ糖をアルコールにして香りを生み出す。

【熟成】
半年ほどかけて発酵が落ち着き熟成期に入る。酵母菌は、小麦の皮の成分を分解し、より複雑な香りをプラスし、もろみはさらに風味を増していく。

【圧搾】
熟成したもろみを雑味が増えないようにじわじわ長い時間をかけてゆっくり搾る。
こうして出来上がるのが、「生揚醤油(きあげしょうゆ)」。
生揚醤油は酵母や乳酸菌が生きたままなので、このままだと発酵は進んでいく。

【濾過】
生揚醤油に含まれる澱(おり)とよばれる不純物と油を取り除く。

【火入れ】
生揚醤油を加熱殺菌し発酵を止める。同時に加熱により醤油の香りがプラスされる。ちなみに、この加熱によるメイラード反応促進でメラノイジンという褐色物質が合成され、醤油の色が黒くなる。

以上が醤油製造の工程です。次回は、濃口醤油誕生の裏側と薄口醤油の塩分濃度はなぜ高いのかに触れていきます(^^)