びまん型胃がんの発症要因
〜東アジア人種・男性・飲酒量・アルコール分解能が弱いゲノム多型と有意な相関〜
(国立がん研究センター 令和5年3月14日公表)

もともとびまん型胃がんと飲酒の関連は指摘されていましたが、遺伝子解析で初めて裏付けられました。

日本を含む東アジアに多いとされる、アルコールを代謝しにくい体質の人が飲酒をすると、スキルス胃がんに代表されるびまん型胃がんの発症リスクを高めることが分かりました。

胃がんは病理組織学的には、大きく腸型とびまん型に分類されます。

胃がんはピロリ菌感染とEBウイルス感染が重要な発症リスク因子で、特にピロリ菌感染を契機とした慢性胃炎は発がんの温床となり、腸型胃がんの発症と強く関連しています。

一方でスキルス胃がんに代表されるようなびまん型胃がんについては発症要因については未解明でした。

今回の胃がんの遺伝子解析では、14種類のがん細胞遺伝子の変異が同定されました。

中でもSBS16という変異が、びまん型胃がん・東アジア人種に多く、また男性、飲酒量、アルコールを代謝しにくい体質(分解能が弱いゲノム多型(ADH1B/ALDH2)と有意な相関を示しました。

1B型アルコール脱水素酵素 (ADH1B)とは、エタノールをアセトアルデヒドに酸化する酵素の一つです。アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)は、このアセトアルデヒドを酸化して代謝する酵素です。これらは遺伝子の点突然変異により働きの弱い酵素と強い酵素があります。

更にびまん型胃がんの発症において鍵となるドライバー遺伝子であるRHOA遺伝子の変異がSBS16で誘発されることが示され、飲酒に関連したゲノム異常がRHOAドライバー変異を誘発し、びまん型胃がんを発症することをゲノム解析から明らかにしました。