2021年10月、WHOは『通常COVID-19発症後3か月の時点で少なくとも2か月以上持続する症状で、他の診断では説明がつかないもの』をpost COVID-19 conditionとして定義しました。定義そのものが曖昧であり、そもそも適切な診断法や治療法も未解明なことから、医師の理解度に応じて混乱しているのが現状です。
コロナ後遺症は、COVID-19になった後、長い間症状が続くする状態を指します。症状は倦怠感や息切れ、頭痛、脱毛、筋力低下、睡眠障害、思考力・集中力低下、嗅覚・味覚異常、関節痛・筋痛、体位性頻脈症候群など多岐にわたります。
呼吸器領域だけでなく脳神経領域を含む多様な症状が続くことが特徴的で、計画的・効率的に行動できなくなる遂行機能障害が大半の方でみられます。Brain fogと呼ばれる症状で、職場に復帰後、もの忘れや思考力・集中力低下、精神的疲労、不安などのせいで、以前は難なく対応できたマルチタスクをこなせないことが自覚のきっかけになります。
コロナ後遺症の症状は多彩であり、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に似た症状を来して日常動作が困難になる患者さんもいます。しかも、通常は検査所見に異常を認めません。
コロナ後遺症の発症は重症度に必ずしも相関しません。倦怠感は重症度を問わず多くの方でみられ、嗅覚・味覚障害は軽症者、呼吸機能低下や筋力低下、息苦しさは肺炎を合併した重症者に多い傾向があります。
コロナに感染した後、2か月あるいは退院後1か月経過時点で7割の方に、6か月時点で5割の方に何らかの症状を有したという報告もあります。
コロナ後遺症の発症頻度は高いにもかかわらず、社会的な周囲の理解度は低く、コロナ後遺症でありながら相当に無理な生活をされている方が多いのが私の実感です。
新型コロナウイルス感染症になった後、症状がすぐれずにお困りの方は、早めにきよしクリニックにご相談下さい。