免疫を高める750年前の秘薬!?

 コロナ禍で免疫力を高める漢方薬としてよく紹介される補中益気湯(ほちゅうえっきとう)ですが、その歴史は古く1247年に中国の古典書物『内外傷弁惑論』に記載された処方です。
著者は中国・金元時代を代表する四大家のひとり李 東垣(りとうえん)。李は病に対し消化吸収機能を改善することを重視し、補中益気湯を創薬したといわれています。その名の通り、中(腹部)を補い、気(エネルギー・パワー)を益す薬方で、元気がない、食欲不振、倦怠感、盗汗、微熱などのある場合に用いられています。日本でも江戸時代に広く用いられるようになり、その幅広い働きから別名「医王湯(いおうとう)」とも呼ばれました。徳川将軍家の典医及び宮内省侍医であった浅田宗伯は、「小柴胡湯の虚状を帯ぶるものに用ゆべし。」と言い伝えたと言われています。ちなみに、浅田宗伯が自ら考案した薬用水飴の処方を、当時書生だった堀内伊三郎に伝授したのが浅田飴です。
 決して特効薬だったり治療薬の位置付けではありませんが、約750年前から脈々と受け継がれてきた補中益気湯が2019年に始まったコロナ禍でも私たちの一助となり生命の秘めたる免疫機能を高めてくれるのは新型コロナウイルスに対しても変わりません。私も多くの方に処方している補中益気湯は10種類の生薬からなる漢方薬ですが、なぜこのような生薬の組み合わせを発見できたのかは人間の智恵と歴史が育んだ叡智としか言えません。750年前に中国で創られ、徳川将軍家も使っていた薬剤を誰でも平等に手にすることが出来る今の世は本当に幸せだと思います。
ご自身の体力や気力の面から免疫力が心配だという方は是非ご相談下さい。

 当院は内科・外科診療において、西洋医学的なアプローチは当然ですが、漢方学医学的なアプローチも大事な選択肢のひとつとして取り入れています。ただ、『漢方が苦手』という方は正直に仰って下さいね(^ ^)

2020年12月15日